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足の潰瘍

2015年12月7日更新

北海道循環器病院 創傷ケアセンター

北海道循環器病院 創傷ケアセンター

下肢にできた傷が6ヶ月以上治らない、内科や皮膚科、整形外科や形成外科にかかって治療しているが1カ月以上経過しても傷が良くならない、あるいは、足の指や下肢を切断しなければならないと言われた慢性創傷の方が対象となります。
当院における離断回避率 85.7%
(2008年2月15日現在、他院において離断を勧められ当院の創傷ケアセンターを受診し離断を回避した率)
動画ライブラリー
慢性創傷の原因必要な検査治療治療例受診方法
慢性創傷の原因

糖尿病や動脈硬化がある方は下肢に傷ができると、感染を起こして潰瘍となり、治りづらく長期化することがあります。また、下肢の動脈硬化が進むと、足の指先への血流が少なくなり、黒くなって壊死を起こし離断を余儀なくされる例も少なくありません。メタボリックシンドロームに代表される糖尿病、動脈硬化症が増加しているなかで、このような難治性の足の傷を抱えている方が増えてきています。

慢性創傷の原因必要な検査治療治療例受診方法
必要な検査
触診

膝窩動脈(ひざの後ろ側)
足背動脈(足の甲)
後脛骨動脈(くるぶしの下側)
大腿動脈(ふとももの付け根)などに触れて拍動を確認します。
上腕・足関節血圧比(ABPI)検査
両腕、両足の四肢から得た血圧比によって閉塞性動脈硬化症の客観的な診断および重症度評価ができます。

レーザードップラーによる皮膚灌流圧の測定
閉塞性動脈硬化症等における足肢の慢性創傷においては、皮膚灌流圧を測定することで、血流を改善するための血行再建治療の必要性の有無を客観的に診断することが可能です。

MD-CT検査
コンピュータ断層撮影装置を用いた血管造影です。CT画像から血管壁の石灰化の程度や狭窄病変も容易観察できるため、治療方針を決定するのに有用です。

血管造影検査
カテーテルにより造影剤を血管内に注入し、X線撮影を行います。
それにより血管の狭窄や閉塞の状態を調べます。

慢性創傷の原因必要な検査治療治療例受診方法
治療(下肢の血流を再開するための血行再建)
理学療法

閉塞性動脈硬化症等では太い血管が狭窄や閉塞することによって血液の流れが悪くなり、歩行時に痛みがでてきます。しかし、痛みを感じながらも無理のない範囲で「歩く」ことによって閉塞した血管の周囲に細い血管(側副血行路というバイパスとなる血管)が新たに造られ血液の流れが改善することから、痛みがあっても歩くことが大切です。理学療法の継続によって痛みは次第に軽減し、歩行距離も伸びてきます。
温熱療法
閉塞性動脈硬化症等における温熱療法としては炭酸泉足浴があげられます。
炭酸泉足浴は足部皮膚に付着する炭酸ガスによって血管を拡張し血流量を増加させます。

薬物療法
閉塞性動脈硬化症等の薬物療法は主に
・血液をサラサラにする抗血小板薬/抗凝固薬
・血管を拡げる血管拡張薬
を使用し血液の流れを改善します。
またこうした薬物療法は、下肢の症状改善だけではなく、脳梗塞や心筋梗塞の予防も目的に行われます。
血管内治療(経皮的血管形成術)

1. バルーンカテーテルによる治療
風船の付いた細い管(バルーンカテーテル)を血管内に挿入し、血管の狭窄部位で風船を膨らませることによって血管を拡げ、血液の流れを改善させます。

2. ステントの挿入
ステントと呼ばれるワイヤー上の管を血管内に挿入することによって血管を内側から支え血管の再狭窄を防ぎ、血液を改善させます。
バイパス手術
人工血管や自己静脈を使って、新しい血流路(バイパス)を作り、下肢末梢までの血流を再開させる治療です。

慢性創傷の原因必要な検査治療治療例受診方法
治療例

治療前

治療後
▽ 症例1
70歳男性/血流障害が起因する慢性創傷例
平成16年8月両足の指が暗赤色となり、左第5指が壊死。
膝下からの切断を勧められる。
同年10月に創傷ケアセンターを受診。皮膚灌流圧を測定したところ、足底の値が良好だったため、小指のみの切断で治癒可能と判断。
入院して11月はじめに左第5指の切断手術を行った。
抜糸後は、ハイドロコロイド剤(被服剤)で治癒を促し、11月中旬には傷が完治し、退院となった。
▽ 症例2
56歳男性/糖尿病が起因する慢性創傷例
交通事故の後遺症のため足を引きずって歩いていて、足裏がタコのように肥厚し1年間治癒せず受診。創傷ケアセンターにて、肥厚した部分を切除(デブリードマン)を数回にわたって施術するとともに傷を圧迫しないように、傷の部分をくり抜いたフェルトロールを当てて生活していただいた。4週間で治癒。

足部に深い膿瘍腔のある糖尿病患者における
早期外科的デブリードメントと血流改善

Ezio Faglia, MD, 1 Giacomo Clerici, MD, 2 Maurizio Caminiti, MD, 3 Antonella Quarantiello, MD, 4 Michela Gino, MD, 5 and Alberto Morabito, PhD 6 (The Journal of Foot & Ankle Surgery 45 (4): 220-226, 2006
比較方法
早期デブリードメント治療の定義
- 治療プロトコル
血管系疾患のアセスメント
当センターへの入院・初回検査時に深い膿瘍腔が疑われた場合は、小さな切開を入れてゾンデ挿入した。
そこで膿が出現した場合、患者はオペ室での緊急外科的デブリードメントの対象となった。
これは入院後平均6~8時間後に実施された。

43名の患者は外来受診後入院となり、直ちに外科的デブリードメントを実施。
63名の患者は他院でデブリードメントを受けずに平均6.2~7.5日間の入院の後、当センターへ転院。

 

アンギオソムとは

アンギオソムとは、Dr. Ian Taylorというオーストラリアのメルボルン医科大学の形成外科の教授が発見、初期の研究をした元々は形成外科の世界からのコンセプトです。
(Taylor et al. Plastic & Reconstructive Surgery: Volume 102(3) September 1998 pp 599-616)
アンギオソム Angiosome
皮膚下の神経にはどの神経がどの部分の皮膚を給与しているかという皮膚分節 ダーマトームという有名なコンセプトがある。 それと同様に、新鮮な死体サンプルの動脈血管に色素を注入することによって、皮膚表面に加えて、どの体内組織がどの源血管(Source arteries)によって補給されているのか、という3Dの血流地図である。形成外科では皮弁を頻繁に行うため、このアンギオソムの地図を把握し活用することによって、皮弁の成功率を高めることになる。
下肢救済においても、足部及び足首の血管構造を知り、機能を理解することは重要である。
Dr. Taylorによる画期的な解剖学ではアンギオソムの原理が定義されており、それによると人体は個々のアンギオソムに分割され、そのそれぞれのブロックにはソースとなる動脈が供給されている。
アンギオソムの境界線と、そのソースとなる動脈の中の血管のつながりを知ることにより、創傷治癒に必要な血流を確保した切開等オペのデザイン作りが可能となる。また、有茎皮弁の成功する採取場所や、切断が治癒するかを予想する助けにもなる。更に虚血性潰瘍の治癒においてバイパスか血管内治療かの選択をするガイドにもなる。
アンギオソムの臨床適応:
(1)皮弁などの皮膚切開部のプラン作り
(2)SPPレーザードップラーのセンサー設置位置ガイド
(3)PTAやバイパスなど、血行再建時のガイド
Dr. Taylorのアンギオソムの研究は、米国の首都、ワシントンDCのGeorgetown大学の形成外科医師、Dr. Chris Attingerによって更に発展した。米国形成外科学会誌Plastic Reconstructive Surgery の2006年6月号に、彼のアンギオソムの研究のまとめが掲載された。詳細は以下を参考にされたい。(Attinger et al. PRS. 117. 261S. 2006)
Dr. Attingerは、Georgetown大学で、15年前から下肢救済センターという、現在の創傷ケアセンターのさきがけとなったセンターを開設した。
今回紹介する写真は、Dr. Attingerから日本の医療関係者の教育のために、と特別にいただいたもので、この機会に感謝の念を述べさせていただきたい。
(Footcare Now/ Millennia Wound Management, Inc. would like to thank Dr.Chris Attinger of Georgetown University for the use of his angiosome pictures for educational purposes in Japan.)
人体には40近くのアンギオソムがあるが、足と足首周辺には、3つの動脈(前脛骨動脈、後脛骨動脈、腓骨動脈)から主に6種類のアンギオソムが存在する。これをそれぞれ紹介する。

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